【03】石油精製用触媒(その1)
1.FCC触媒
流動床接触分解触媒ともいう。石油の流動接触分解(FCC : Fluid Catalyst Cracking)プロセスで用いられる40〜80µmの微粒子状に造粒された固体酸触媒である。
FCCプロセスでは、原料油がほぼ常圧下、高温でFCC触媒と短時間で接触させることにより、石油中の重質留分が分解する。高オクタン価のガソリン基材を生産するのが本来の目的であったが、最近は重質油の有効なアップグレーディングプロセスの一つとして注目されている。
このプロセスでは、触媒上に蓄積した炭素質を燃焼除去し、活性を回復させるために再生搭を併置しており、触媒は反応塔と再生搭の間を循環している。このため、高い機械的強度および耐水熱性が要求される。
FCCプロセスの原理は、1923年にHoudryによって発見された。彼は活性白土を用いたが、やがて合成シリカーアルミナ触媒が開発され、さらに1960年代に入って合成ゼオライト系触媒が発明された。
現在の市販触媒は、ほとんどY型ゼオライト系触媒である。通常シリカ、アルミナ、シリカーアルミナ、粘土などから成る基材(マトリックス)に5〜40%のゼオライトを分散させた触媒が用いられている。FCC触媒で使用されるゼオライトは、ほとんどがY型であり、分解活性を持たせるため、通常ナトリウムイオンをプロトンあるいは希土類イオンでイオン交換して用いられている。近年は、ゼオライトを一部脱アルミニウムして耐水熱性を増強したY型ゼオイト(USY)が主流である。
このような触媒は分解活性が高く、ガソリン選択性に優れ、ガスや炭素析出物の生成が少ないなどの利点を有す。
FCC装置で処理される原料油は、従来、主に減圧軽油(VGO)であったが、最近は原料の重質化に伴いNiやVなどのメタルやアスファルテンが多くなり、また残油を原料とする残油FCC装置(RFCC)が多く稼動するようになってきている。
このため、触媒は耐メタル性、耐水熱性が高く、ガソリン、サイクルオイル収率が良いものが求められている。最近、わが国でも需要構造が重質油から軽質化指向にあるので、触媒の需要は年々増加している。
2.水素化分解触媒
水素化分解法は、水素化能と分解能の二元機能を有する触媒を用いて高温高圧の水素気流中で原料油を分解するもので、同時に脱硫、脱窒素反応も行われるため、高品質のガソリン、中間留分を選択的かつ高収率で得られる。
水素化分解は当初ガソリン製造に主眼がおかれていたが、近年、減圧軽油からの中間留分の製造が可能となり、さらに残油の水素化分解プロセスも開発が進められている。
水素化分解法は1956年にアメリカで最初の商業プラントが完成し運転に入った。水素化分解触媒は固体酸性を有する担体にニッケルーモリブデン等の金属を担持したものが一般的である。当初の触媒はアモルファス系のものが使用されていたが、1964年にはゼオライト系触媒が開発され、水素化分解プロセスの採用がより活発となった。アモ
ルファスおよびゼオライト系両触媒は目的に応じて使いわけられており、現在も触媒改良が進められている。担持金属としては上記以外にタングステン、コバルト、白金等がある。減圧軽油等留出油の水素化分解プロセスには一段式または二段式の固定床装置が用いられている。また、リサイクルを組み合わせたプロセスもある。
輸入原油の性状が将来重質化傾向を示すことが予想されるので重質油を対象としたプロセスならびに触媒の開発が積極的に進められている。
残油の水素化分解法は残油の巨大なアスファルテン分子を構成する多環芳香族を分解するために過酷な反応条件を必要とし、かつ残油中にニッケル、バナジウムなどの金属分が多く含まれるため、触媒寿命が短いという本質的な問題点を抱えている。残油の水素化分解触媒には担体の細孔径分布が重要な因子であると考えられる。実装置が稼動しているプロセスとして沸騰床式のH-Oil法、LC-Fining法、固定床式のBOC-Unibon法等がある。残油の水素化分解法はコストもかかり、触媒も含めてまだ開発途上にあると考えられ、今後信頼性および経済性の高い技術の開発に期待がかけられている。水素化分解技術に要求される今後の課題として、原料油の重質化に比例して増えてくる不純物に耐え、しかも低水素消費型の触媒開発や、省エネルギー型のプロセス開発が望まれる。
(触媒化成工業)