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触媒の話(コラム)

【14】 無機化学品製造用および雰囲気ガス製造用触媒

無機化学品製造用触媒には、アンモニア合成用、硫酸製造用及び硝酸製造用触媒が含まれ、また金属熱処理を行う際、金属表面での反応を制御する雰囲気ガスを製造するための、雰囲気ガス製造用触媒がある。

1.アンモニア合成用触媒
アンモニアは、下記の反応式により合成される。この反応は平衡反応であり、アンモニアの合成には低温で高圧が好ましい。実際の合成は、温度400〜550℃、圧力はプロセスにより異なるが中〜低圧法で15〜30 MPa 程度で、原料ガスを触媒層に通すことで行われている。

N2 + 3H2 → 2NH3

触媒は、四三酸化鉄Fe3O4を主成分とし、反応促進や耐久性向上を目的とした助触媒として酸化カリウム、アルミナ、酸化カルシウム、シリカなどが数% 含有されている。溶融法により製造され、破砕(3〜15mm)された粒状物であるが、最近では容積効率を上げるため 3 mm の小サイズが普通となっている。

合成ガスは、N2または H2のいずれが過剰になっても、系内に蓄積し、著しく反応の進行を低下させるので、成分比を一定にすると共に、一酸化炭素、炭酸ガス、水、酸素、硫黄、塩素、リンなどが触媒毒となるので、これらの触媒毒を十分に除去することが必要である。

近年、アンモニア合成用の新しい触媒として、Ru−カーボンタイプの触媒が注目されている。ケロッグにより実用化されている非鉄系の触媒であり、マイルドな条件で反応が進む。

2.硫酸製造用触媒
接触式硫酸製造法において、精製した原料ガスのSO2を、触媒を充填した反応器に 400〜440℃で通すと 反応によりSO3が得られる。このSO3を希硫酸に吸収させて濃硫酸を得る。SO3の生成反応は平衡反応であり、高温では逆反応が多くなる。このため、触媒層を3〜4段に分け、各中間ゾーンでガスを冷却し、転化率を少なくとも98%以上になる様にしている。

SO2 + 1/2 O2 → SO3

SO3 + H2O → H2SO4

触媒は、シリカゲルや珪藻土を担体とし、主成分として五酸化バナジウム、助触媒としてカリウム塩を添加成型したものである。低温活性向上のためのセシウム塩を添加したものもある。形状はリング状のものが主流である。近年、国内においては設備の新設が無いため、需要は定修時の篩い分けロスの補充が主で、低水準となっている。

3.硝酸製造用触媒
オストワルド法(アンモニア酸化法)において、アンモニアと過剰の空気または酸素の混合ガス(アンモニア濃度 10vol%前後)を 800〜1,000℃、0.8〜0.9 MPa前後で触媒層に通すと 反応によりNOが得られる。生成ガスを冷却し、NOは過剰の酸素と反応しNO2が生成する。このNO2 を吸収塔で水に吸収させると、HNO3 とNOが得られ、NOはリサイクルされる。ここで得られた硝酸は約65wt% の希硝酸である。

NH3 + 5/4 O2 → NO + 3/2 H2O

NO + 1/2 O2 → NO2

3NO2 + H2 O → 2HNO3 + NO

触媒には、白金系合金の細線よりなる網が、数枚〜数十枚重ねて使用される。現在では、機械的強度を増した白金―ロジウム(7〜15%)の合金が主流である。NH3の酸化反応に伴い、高価な白金が酸化物となり揮発して損耗するため、これを捕集するパラジウム合金の網が下流側に設置される。

4.雰囲気ガス製造用触媒
インゴットから金属製品を製造する工程で、各種の熱処理が行われる場合が多いが、金属表面での酸化反応や金属の変質を避けるため、これらの熱処理を不活性ガスまたは還元性ガスの、雰囲気ガス中で行う必要がある。雰囲気ガス内で金属熱処理を行うことにより、ガス浸炭、無酸化焼入、浸炭窒化および光輝焼鈍などの処理が的確にできる様になった。
この雰囲気ガスを接触方式で作る方法には、一つは天然ガス、プロパン、ブタンを原料として触媒を用いて部分燃焼する方法、もう一つはアンモニアを触媒を用いて分解する方法がある。

(1)部分燃焼方式
プロパンと空気の混合比を1:7.14 とし、900〜1,000℃、SV1,000〜2,000 で触媒層に通すと、部分燃焼して CO 23.7%、H2 31.7%、N2 44.4% の組成のガスが得られる。このガスは金属のガス浸炭用に使用される。

C3H8 + 1.5 O2 + 5.64 N2 → 3CO + 4 H2 + 5.6 N2

触媒には、不活性のシリカーアルミナ担体にNiO として 5〜10% 添着したものが使用される。

(2)アンモニア分解方式
アンモニアガスを、500〜900℃、SV500〜1,000で触媒層に通すと、分解してN2とH2の混合ガスが得られる。このガスは、浸炭を避けるステンレスの光輝加熱、銅および銅合金の光輝加熱などに使用される。

2 NH3 → N2 + 3 H2

触媒としては、アルミナ担体にFe3O4として5〜10%、あるいは NiOとして20〜30%、あるいは Pt として0.5% を添着したものが使用される。


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